コメディ映画に出演
スペンサー・デイヴィス・グループ、俳優のニコラス・パースンズ、歌手のポーリー・ホワイトらをメインキャストとするミュージカル・コメディ映画。1966年7月にウィンザーやケント州のチディングストーン城などで撮影が行われ、同年の暮れに「恐竜100万年」と同時上映にて公開された。テムズ河ボートパーティでの When I Come Home や、パジャマ姿で演奏する Nobody Knows You When You’re Down And Out などを所々に配してストーリは展開されるが、内容としては他愛のない物語。しかし何も考えずに見ればけっこう笑える。若き日の動くスティーヴ・ウィンウッドの姿を見ることができる点では貴重なフィルムで、リップシンクとはいえ演奏シーンなどはファンとしては十分に楽しめる。メンバーは映画前半に出番が多く一番目立っているのがピート・ヨークで、シャイなウィンウッド兄弟のセリフはほとんどなくスペンサー・デイヴィスとピートの陰に隠れがち。特にスティーヴは演奏シーン以外ではほとんど演技をする気がなさそうで、それがいかにも彼らしく面白いところでもある。それでもスティーヴがリヤカーにスペンサーを乗せて運ぶシーンや、酒樽の中で居眠りするシーンなどの見どころ?もあり楽しめる。映画の後半はアッカー・ビルク&パラマウント・ジャズ・バンドやローン・ギブスン・トリオ、デヴィッド・ベリー、スリー・ベルズ、セントルイス・ユニオンなどのバンドや歌手の演奏シーンが続く。最後はオールキャストによる野外パーティでの演奏シーンで、スティーヴは中央で淡々とオルガンを弾いている。この映画への出演に乗り気でなかったスティーヴは、クリス・ブラックウェルがこのような仕事を持ってきたことが理解できなかったらしく、「セリフを言わなくていいなら出てもいい」とわがままな交換条件を出したようだ。