エッタ・ジェイムズ
ロサンジェルス出身、本名ジェイムセッタ・ホーキンズは14歳の母から私生児として生まれた。幼い頃から教会でゴスペルを歌い、1950年にサンフランシスコへ移るとドゥーワップ・トリオを結成、後にザ・ピ-チズと名乗った。54年にジョニー・オーティスに見いだされて初レコーディングした The Wallflower (Dance With Me, Henry) を皮切りに、50年代はドゥーワップやR&Bナンバーをヒットさせている。60年にチェス・レコードと契約、All I Could Do Is Cry がビルボードR&Bチャート第2位を獲得し初のソロメジャーヒットを記録。同年にリリースされたデビュー盤 At Last! には、タイトル曲や Trust In Me など初期の代表曲がズラリと並んでいる。さらに Pushover や Something’s Got A Hold On Me などのヒット曲を次々と生みだし、ポップチャートにも食い込むほどの人気を獲得した。またマッスル・ショールズ録音による67年作 Tell Mama では、タイトル曲やオーティス・レディングの Security をヒットさせるなど、ソウル色を強調した方向性も見いだしている。一方で60年代中頃から重度のヘロイン中毒に陥りはじめ、70年代にリハビリセンターで治療を受けるが薬物依存を断ち切ることができず、89年にアルバム Seven Year Itch でカムバックを果たすまで、長い低迷期を過ごすことを余儀なくされた。
本作は1992年にリリースされたカムバック後のアルバムで、年齢と共に円熟味を増したヴォーカルを聴くことができる。プロデューサーは大御所のジェリー・ウェクスラーで、彼の誘いによりスティーヴ・ウィンウッドはレコーディングに参加、Give It Up でエッタ・ジェイムズとデュエットしている。またトラフィック時代の仲間でもあるマッスル・ショールズ・リズムセクションとも共演している。