ハウリン・ウルフ
ミシシッピ州ウェストポイント近郊のホワイト・ステイション出身、本名はチェスター・バーネット。40年代にメンフィスにて音楽活動を開始し、1951年にチェス・レーベルからシングル Moanin’ At Midnight をリリースした。その後チェス・レコードと契約し活動拠点をシカゴに移し、独特のハスキーヴォイスによるブルーズ・ヴォーカリストとして70年代初頭まで精力的に活動した。本作はロンドンにおけるハウリン・ウルフと英国ロックミュージシャンのセッションを収録したアルバムで、この共演はチェス・レコードのノーマン・ダイロンがエリック・クラプトンに打診したことから実現した。クラプトンがローリング・ストーンズのイアン・スチュワート、ビル・ワイマン、チャーリー・ワッツを誘い、70年5月2日と7日の2日間、オリンピックスタジオにてセッションは行われた。2日はストーンズ・メンバーのスケジュールが合わず、急遽クラウス・フォアマンとリンゴ・スターが代行している。またハウリン・ウルフ側からはヒューバート・サムリンら数名が参加した。
ところでスティーヴ・ウィンウッドはこのロンドン・セッションには参加していない。後日シカゴで行われた本作へのオーバーダブ・セッションに、トラフィックが米国ツアー中だったことから誘われて加わったが、そのセッションにはハウリン・ウルフは不参加だった。実際に共演していないにもかかわらず、ジャケットにはエリック・クラプトンやストーンズ・メンバーらと共に名前が並んでいる。同セッションでスティーヴは What A Woman! と Who’s Been Talking? でオルガン、ほかの3曲でピアノを弾いている。2003年には2枚組のデラックス盤がリリースされ、追加収録されたミックス違いの What A Woman! でオルガンを、同じくミックスが異なる Poor Boy と I Ain’t Superstitious でピアノをプレイしている。また94年に英国のチャーリー・レコードがリリースしたコレクターズアイテム London Re-Visited (Charly Blues Masterworks Vol.46) には、Poor Boy と Little Red Rooster のテイク違いが収録されている。演奏者にスティーヴのクレジットがあるので、Poor Boy あるいは収録曲の何れかに関与している可能性がある(現物未確認)。