スティーヴ・クロッパー
9歳の時に米国テネシー州メンフィスに家族と共に移住し、14歳で最初のギターを通販で手に入れて地元のミュージシャンとプレイし始めた。50年代後半にチャーリー・フリーマン、ダック・ダン、ドン・ニクスらとロイヤル・スペイズを結成、これが1958年にサテライト・レコード(後のスタックス)のハウスバンドとなりザ・マーキーズの名前で活動を開始した。62年にはブッカーT・ジョーンズ、ルイス・スタインバーグ、アル・ジャクソンらと共にブッカーT&ザ・MG’s を結成、スタックスの専属バンドとして60年代を通じて数々のレコーディングに携わった。バンド活動の傍らスティーヴ・クロッパーは専属ギタリストとして、オーティス・レディングやサム&デイヴなどのレコーディングに参加すると共に、(Sittin’ On) The Dock Of The Bay をレディングと、In The Midnight Hour をウィルソン・ピケットと共作するなど、ソングライターとしての才能も発揮している。70年にスタックスを後にすると、ジェリー・ウィリアムズらと共にTMIスタジオを設立、ロッド・スチュワート、ジェフ・ベック、タワー・オブ・パワーなど多くのミュージシャンをプロデュースしている。78年にはブルーズ・ブラザーズ・バンドに参加し映画にも出演、続編の Blues Brothers 2000 にも登場した。ソロアルバムは69年に With A Little Help From My Friends をリリース、続いて80年代にMCAで2枚制作している。98年には自身のレーベル設立記念アルバム Play It, Steve! をリリース、タイトルはサム&デイヴの Soul Man でサム・ムーアがクロッパーに投げかけたフレイズに因んでいる。
2011年リリースの本作はザ・ファイヴ・ロイヤルズへのトリビュート・アルバムで、グループのギタリストであるロウマン・ポウリングは、若き日のスティーヴ・クロッパーが最も影響を受けたギタリストのひとりだという。本作の冒頭を飾る Thirty Second Lover でスティーヴ・ウィンウッドはリードヴォーカルとオルガンで参加、レコーディングはウィンクラフト・スタジオにて行われている。ベーシックトラックはナッシュビルにあるダン・ペンのスタジオで録音されており、クロッパー所有のインソムニア・スタジオにてバッキングヴォーカルが追加収録された。