ヴィヴィアン・スタンシャル
英国オックスフォード出身。1962年頃にアートスクール仲間だったロドニー・スレイターと、ボンゾ・ドッグ・ドゥー・ダー・バンドを結成。これにニール・イニスやレッグス・ラリー・スミスらが加わり、ダダイズムやヴォードヴィル、ジャズなどを融合したユニークなサウンドを創造し、67年のデビュー作 Gorilla や、代表作 Keynsham など5枚のアルバムをリリースした。またソロ活動としては、マイク・オールドフィールドの Tubular Bells でのナレイション、BBCのラジオ番組における自作ドラマ Rawlinson End の朗読などがある。音楽方面では70年にエリック・クラプトンやキース・ムーンのバックアップで数枚のシングルを制作したが不発に終わり、アルバムも4枚リリースしているが、独特の感性から生み出される作風は一般的な理解を得ることはなかった。スティーヴ・ウィンウッドとはトラフィック時代からの付き合いで、相性はかなり良かったらしく、未発表ながら多くの曲を共作していたようだ。ヴィヴィアン・スタンシャルはインタビューで「私が書いた詩を歌って欲しいと思える人物はそう多くない。スティーヴ・ウィンウッドとジョー・コッカーはそんな二人だ。スティーヴとは共通点が何もないのに、精神的に呼応するものがあり、お互いによく理解し合えている」という主旨の発言を残している。スタンシャルは95年に住んでいたアパートの火災に巻き込まれて死去、スティーヴは葬儀で彼に歌を捧げた。
1974年作 Men Opening Umbrellas Ahead はヴィヴィアン・スタンシャルの初ソロアルバムで、スティーヴはベーシストとして全曲に参加、Strange Tongues ではオルガンも弾いている。また同じセッションのアルバム未収録のシングル Lakonga ではオルガンを、そのB面曲 Baba Tunde ではピアノを演奏しているようだ。CDにはこの2曲がボーナストラックとして収録されている。78年作 Sir Henry At Rawlinson End は、スタンシャルが脚本を書き、BBCのラジオドラマとして放送された創作物語を編集したもの。スティーヴはピアノやミニモーグに加えて、以下のような多様な楽器を演奏している。Aunt Florries’ Waltz と Interlewd でチェレスタ、The Rub でパイプオルガン、Wheelbarrow でバンジョリン、Fool And Bladder と Endroar でマンドリン、後者ではアコーディオンも、そして Papadumb でバラライカ。81年作 Teddy Boys Don’t Knit のクレジットにはスティーヴの名前は見あたらないが、クリス・ウェルチの伝記ならびにスティーヴ本人が述べたところによると、このアルバムのセッションにも参加している模様。