ザ・フー
ピート・タウンゼント、ロジャー・ダルトリー、ジョン・エントウィッスル、キース・ムーンの4人が1964年に結成した英国のロックバンド。キース・ムーンの死後はケニー・ジョーンズが代役を務め83年まで第一線で活躍した。ザ・フーの69年の代表作 Tommy は多様なスタイルで再演されており、72年にはオーケストラ・ヴァージョンが録音された。登場人物にはザ・フーのメンバーをはじめ、豪華ゲストをキャスティングしており、ロンドン交響楽団と英国室内合唱団が演奏とコーラスを担当している。スティーヴ・ウィンウッドはトミーの父親ウォーカー大佐役で5曲にてリードヴォーカルをとっている。また Pin Ball Wizard を歌う元チャンピオン役はロッド・スチュワートが担当、このほか看護婦役にサンディ・デニー、アーニおじさん役にリンゴ・スター、ジプシー役にメリー・クレイトンらが参加している。オリジナル盤のクオリティには及ばないが、ロックオペラとして聴くと本作のようなスタイルも捨てがたい魅力がある。スティーヴの登場率が極めて高いことも合わせて必聴の一枚だ。録音時期のクレジットにないが、スティーヴが腹膜炎から復活したばかりの72年9月頃と思われ、12月にはロンドンのレインボーシアターで舞台公演があり、ここでもスティーヴは父親役で出演している。
ザ・フーは1989年にライヴエイドで再結成し25周年記念ツアーを敢行、その際に代表作のロックオペラ版 Tommy を再演しており、8月24日のロサンジェルス・ユニヴァーサル・アンフィシアター公演の模様が映像で記録されている。スティーヴ・ウィンウッドはここでもゲスト出演しており、サニー・ボーイ・ウィリアムスンⅡの Eyesight To The Blind (The Hawker) でギターとヴォーカルを担当した。その他のゲストミュージシャンには、フィル・コリンズ、ビリー・アイドル、エルトン・ジョン、パティ・ラベルがクレジットされている。本作 Tommy And Quadrophenia Live はDVDのディスク1に上記公演を収録、ディスク2に96~97年の米国ツアーにおけるロックオペラ Quadrophenia(四重人格)の映像を収録、ディスク3に両オペラ公演後のアンコール音源などをエクストラ・コンテンツとして収録している。なお公演と同年にVHSでリリースされた際のタイトルは Live Featuring The Rock Opera Tommy であった。