マディソン・スクエア・ガーデンのライヴ
2008年2月25日、26日、28日の3日間、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンにて、スティーヴ・ウィンウッドとエリック・クラプトンによるジョイント・コンサートが行われた。本作はその3公演を編集したもので、映像と音源の両フォーマットにてリリースされている。CDは2枚組で全21曲、限定発売のアナログ盤は3枚組で Low Down を除く全20曲を収録。DVDは本編ディスクにアナログ盤と同じ曲目で全20曲、ボーナスディスクに Low Down を含む3曲とドキュメンタリー映像などを収録、ブルーレイ・フォーマットもある。またDVDとCDにツアープログラム、ポスター、写真などをセットにした初回限定セットも発売された。
3公演のセットリストには大きな差違はなく、ブラインド・フェイス、トラフィック、デレク&ザ・ドミノズ、互いのソロナンバーなどで構成されている。二人のオフィシャルな共演を振り返ると、1966年のエリック・クラプトン&ザ・パワーハウス、69年のブラインド・フェイス、73年のレインボーコンサート、83年のARMSコンサートがよく知られたところであるが、この公演ほどしっかりとタッグを組み、お互いが本当に望む形でパフォーマンスを行ったのは初めてのことだといえる。このコンサートの前年の5月には、英国バークシャーのハイクレア城で開催されたカントリーサイド・ロックス音楽祭で、スティーヴのバンドにクラプトンが客演し、ブラインド・フェイスの曲を含む7曲を共演しており、続く7月にはクラプトン主催のクロスロード・ギター・フェスティヴァルにスティーヴが招待されている。この二つの共演がジョイント・コンサートを実現させたきっかけとなった。さらに2009年、10年と引き続き共演コンサートを実施するなど、二人の関係はさらに密なものになっていく。共演を強く望んだのは、ブラインド・フェイスの時と同様クラプトン側のようで、本公演を聴くとクラプトンのパフォーマンスのほうにより強い情熱を感じる。とはいえスティーヴのアプローチも充分に積極的で、特にオルガンのプレイでクラプトンのソロを引き立てつつも自らがリードする場面も多々あり、非常に見ごたえがある。ブラインド・フェイスから40年を経た二人が、久々の本格的な再会・再演を楽しんでいる様子が観客に伝わるようなコンサートである。