ARMSコンサート
ARMS(多発性脳脊髄硬化症研究機関)への、1983年のベネフィット・コンサートの模様を収録した作品。会場はロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで、この病気に苦しむ元スモール・フェイシズのロニー・レインと、ARMSの活動を支援する目的で集まったミュージシャンにより開催された。スティーヴ・ウィンウッドは、ジュニア・ウォーカーの Roadrunner やアル・グリーンの Take Me To The River でリードヴォーカルを担当、Slowdown Sundown ではモーグとマンドリンを交互に弾きながら熱唱、Gimme Some Lovin’ ではオルガンを弾きながら歌いステージも盛り上がっている。エリック・クラプトンとは、レインボウ・コンサート以来久々の共演となった。またスティーヴは後半、ジェフ・ベックやジミー・ペイジのステージにも登場し、数曲でリードヴォーカルやコーラスをサポートしている。ヤードバーズ脱退後のペイジは、新バンド構想にスティーヴを入れたいという願望があったようで、実際にソロアルバム用のセッションにスティーヴを招いている。このステージでも二人は仲が良さそうで、最後にハグする姿が微笑ましい。その他の参加ミュージシャンは、元スモール・フェイシズのケニー・ジョーンズ、ローリング・ストーンズのビル・ワイマンとチャーリー・ワッツ、ジェイムズ・フッカー、レイ・クーパーなど。ロニー・レインがコンサートの最後に出場し、Goodnight Irene を切々と歌う姿は感動的だが、97年6月に残念ながらこの病のために他界した。本作は映像としては84年のVHSが初リリースで、2004年に日本にてDVDで再発された。そして08年にはオランダのマイナーレーベルからCDとDVDがリリースされている。ARMSコンサートは83年9月~12月にかけて英国で2回、米国で3回開催された。