デイヴィ・スピラーン
アイルランドのダブリン出身で、アイリッシュ系の民族楽器イーリアンパイプとローウィッスルの奏者。12歳からイーリアンパイプを吹き始め、16歳の時には母国や欧州で演奏を開始、1978年からは主にバラード系の自作曲を書き始めている。81年にドーナル・ラニー、クリスティ・ムーアとムーヴィング・ハーツを結成し4枚のアルバムを制作。グループ解散後の87年、バンジョー・プレイヤーのベラ・フレックやアルバート・リーの協力を得てソロアルバム Atlantic Bridge をリリースしている。その後もロリー・ギャラガーと共演しロック・フォーク路線の作品 Shadow Hunter や、アンディ・アーヴァインとケルトとバルカン音楽を融合させたアルバム East Wind、ケヴィン・グラッキンとの共作でトラディッショナル音楽を追究した Forgotten Days など、さまざまなジャンルの音楽を吸収していった。特に East Wind は、アイリッシュダンスをテーマとした人気舞台作品「リヴァーダンス」にインスピレイションを与えた作品であり、デイヴィ・スピラーンはゲスト・ソロイストとしてツアーに参加している。
スティーヴ・ウィンウッドとは、アイルランドで録音されたトラフィックの Far From Home 収録曲である Holy Ground を共作し、印象的なイーリアンパイプを演奏している。そして同年リリースのスピラーンのソロアルバムである本作において、スティーヴは Forever Frozen でリードヴォーカルを歌っている。スピラーンはほとんどの曲でイーリアンパイプやローウィッスルを奏でており、アルバムの雰囲気は優雅でヒーリングミュージックのような効果もある。また伝統楽器の魅力を損なうことなく、現代楽器を巧みに融合させているのも特徴で、独自の音世界を創り上げている。タイトル曲のヴォーカルには、アイリッシュ・フォークシンガーのモイア・ブレナンを招いている。