アルバム概要
本作はトラフィック初の2枚組、フルライヴアルバムとして1973年10月に発表された。トラフィックは前作のレコーディングの後、マッスル・ショールズ・サウンド・スタジオのメンバーを従えた7人編成で、73年の春よりアメリカ横断ツアーに出発。その後ヨーロッパ各地を巡るが、その中で73年4月の西ドイツ・デュッセルドルフ公演を記録したのがこのアルバムである。収録内容はトラフィック再編成後のアルバム3枚から代表曲が選ばれており、オリジナルのスタジオ録音以上に、インプロヴィゼイション重視のレイドバックした演奏が繰り広げられている。そのため収録曲数はわずか7曲だが収録時間は70分を超えており、アナログ盤は2枚組でリリースされた。アメリカでは一曲目を割愛したシングル・フォーマットも用意され、リマスターCDには全7曲が1枚にまとめられている。
長尺インストナンバー2曲に加え、ヴォーカルナンバーもどちらかというと演奏そのものに焦点をおいた構成で、冗長さを感じさせる部分も若干あるが、スタジオ録音以上にスリリングな展開をみせるシーンも多々あり、70年代トラフィックのありのままの姿を捕らえた記録として大変貴重である。メンバーはスティーヴ・ウィンウッド、ジム・カパルディ、クリス・ウッド、リーバップ・クワク・バーに加え、マッスル・ショールズ・チームから、デヴィッド・フッドとロジャー・ホーキンズのリズムセクション、それにキーボードのバリー・ベケットが正式メンバーとして加わっている。またジミー・ジョンスンがサウンド・ミキシングを、ブライアン・ハンフリーズが録音エンジニアを担当している。見開きジャケット内面の写真には、スティーヴの旧友でツアーマネージャを務めるノビーことジョン・クラーク、ツアーコーディネータのヴィヴ・フィリップスの姿もある。彼らはソロになってからもスティーヴの片腕として活躍する重要な裏方陣だ。なおほぼ同じ時期のライヴとして、72年2月のサンタモニカ公演の映像 Live At Santa Monica がある。