スティーヴ・ウィンウッド公式録音記録：トラフィック

サンタモニカ・ライヴ映像

カリフォルニア州サンタモニカ市公会堂で行われた、トラフィックのコンサートを収録した貴重な映像。1972年２月１日の公演はアリーショウとレイトショウの２部構成だったので、その両方を編集していると思われる。演奏は当時のトラフィックの方向性であるインタープレイを重視したもので、代表曲がズラリと並んでいるのも魅力的だが、スティーヴ・ウィンウッドの体調はあまり良くなかったと予想できる。恐らくこの公演から間もなくして腹膜炎を患い入院、ツアーを中断して英国での療養期間に入っている。スティーヴが復活したのは、ザ・フーのオーケストラ版 Tommy のレコーディングが行われた、72年９月頃と思われる。その後、12月にトラフィックの新作 Shoot Out At The Fantasy Factory の収録を行っている。

本ステージにおいてスティーヴは The Low Spark Of High Heeled Boys でピアノ、Glad と Freedom Rider でオルガン、Rainmaker と Forty Thousand Headmen でアコースティックギターを演奏するなど、マルチプレイヤーぶりを発揮。また Dear Mr. Fantasy とジム・カパルディがリード・ヴォーカルの Light Up Or Leave Me Alone では、グリーンのギブソン・ファイアーバードをプレイしており、カメラはギターワークをしっかりと捉えているので間近で見ることができる。また John Barleycorn では、スティーヴとジムの息のあったデュエットが披露されており、Rainmaker ではリーバップ・クワク・バーによる白熱のパーカッションソロが後半で炸裂する。クリス・ウッドは決して目立つことはないが、全編を通じてバンドの要ともいえる独特のジャズフレイバーを演奏に盛り込んでおり、フルートやサックス以外にオルガンをプレイするシーンは貴重といえる。そしてトラフィックの演奏をしっかりサポートする、マッスル・ショールズ・リズムセクションのメンバーの姿も見ることができる。欧米におけるこの映像の初出は80年代中頃のＶＨＳだった。91年に国内盤ＬＤフォーマットで発売され、2008年にはパッケージを新装してＤＶＤにてリイシューされている。