スティーヴ・ウィンウッド公式録音記録:スペンサー・デイヴィス・グループ

The Second Album

The Spencer Davis Group

Spencer Davis GroupSpencer Davis Group
Side A
01. Look Away
(N.Meade/B.Russell) 2:41
02. Keep On Running
(J.Edwards) 2:46
03. This Hammer
(S.Winwood/M.Winwood/P.York/S.Davis) 2:15
04. Georgia On My Mind
(H.Carmichael/S.Gorrell) 4:39
05. Please Do Something
(D.Covay/R.Miller) 2:23
06. Let Me Down Easy
(M.Dollisno) 3:00
Side B
07. Strong Love
(D.Malone/E.Silvers/M.Brown) 2:14
08. I Washed My Hands In Muddy Water
(J.Babcock) 2:35
09. Since I Met You Baby
(I.J.Hunter) 3:27
10. You Must Believe Me
(C.Mayfield) 2:44
11.  Hey Darling
(S.Winwood/S.Davis) 4:46
12. Watch Your Step
(B.Parker) 2:52
Producer
Chris Blackwell
Harry Robinson [07]
Photography
Clifford Jones
Musician
Spencer Davis (vo,g)
Steve Winwood (vo,g,p,hca)
Muff Winwood (vo,b)
Pete York (dr)
Jimmy Cliff (back-vo) [02]
Recording
Lansdowne Studios, London, England
Olympic Sound Studios, London, England
Pye Studios, London, England [02]
Release
Jan. 1966 : Fontana TL 5295, 687 362 TL/ UK
アルバム概要

スペンサー・デイヴィス・グループの The Second Album はタイトル通り2枚目のアルバムで、ファーストから約半年後の1966年1月にリリースされた。これに先駆けて発表された5枚目のシングル Keep On Running が、UKチャートで初のナンバーワンを獲得するという大ヒットを記録、スペンサー・デイヴィス・グループは一躍スターダムに上り詰めていた。当時は地元のバーミンガムだけでなく、ロンドン、リヴァプール、ニューキャッスルなど、英国各地でのパフォーマンスに多忙な日々を送っていた。結成からしばらくの間はツアーをサポートするスタッフもなく、メンバー自らヴァンを運転して移動していたが、次第に限界を感じ始めたマフ・ウィンウッドは、知人のジョン・グローヴァーにバンドのローディ役を依頼した。グローヴァーはこれを切っ掛けに60年代から多くのミュージシャンのツアーマネージャを務め、後にマネージメント会社を立ち上げ、ゴー・ウェストら多くのミュージシャンをサポートしている。スペンサー・デイヴィス・グループはそんな多忙なスケジュールの合間に、2作目のレコーディングをファーストと同じく短期間で一気に完了させた。本作には前述の大ヒットシングルに加え、4枚目のシングル Strong Love と、そのB面曲でトラディショナルをアレンジした This Hammer を収録。オリジナルナンバーは、スペンサー・デイヴィスとスティーヴ・ウィンウッドの共作による Hey Darling のみとなっており、その他はメンバーの音楽的な趣味を反映した多様なカヴァー曲で占められている。そのためオリジナリティに欠ける点は相変わらずではあるが、選曲やアレンジ面においては前作以上のこだわりが感じられる。またレイ・チャールズの秀逸なカヴァー Georgia On My Mind に代表されるように、いくつかの曲では確実に表現力の幅を広げており、スティーヴを中心としたメンバー全員の音楽的な成長を感じ取ることができる。セカンドアルバムはUKアルバムチャートの第3位まで上昇、18週間チャートインし続けた。

収録曲について

Look Away はソウルシンガーのガーネット・ミムズのカヴァー。ゴスペル調の女声コーラスを入れた完成度の高い仕上がりで、アレンジと演奏にメンバーの音楽性の深まりを感じさせる。Keep On Running は大ヒットを記録した5枚目のシングルで、作曲者のジャッキー・エドワーズは、クリス・ブラックウェルが見出したジャマイカ出身のソングライター。スカのリズムが強調されていた原曲をメンバーがアレンジし、当時としては珍しいファズペダルを使った。この曲を聴いたアメリカの某ラジオ局スタッフが黒人のパフォーマンスだと勘違いし、米国で放送されない要因となった。ジミー・クリフがバックヴォーカルで参加。This Hammer のクレジットはメンバー共作だが、レッドベリーも歌っていたトラディッショナル・ワークソングをアレンジしたもの。ヴォーカルはスティーヴだが、どちらかというとスペンサー好みのカントリーナンバー。Georgia On My Mind はジャズフィールドの作曲家ホーギー・カーマイケルの代表作。レイ・チャールズのレパートリーでもあるこの曲を、スティーヴはティーンエイジとしては抜群のセンスで歌いこなしており、エリック・クラプトンも「目を閉じて聴けばレイ・チャールズそのものだ」と自伝の中で絶賛している。レイ・チャールズはスティーヴに多大な影響を与えた人物で、「変声期に真似ていたらレイのようにソウルフルな声になった」という話は有名だ。Please Do Something はソウル系シンガー・ソングライターのドン・コヴェイの曲で、シングルヒットも期待できそうなメロディアスなナンバー。Let Me Down Easy はソウルシンガーのベティ・ラヴェットが歌っていたスローバラードで、スティーヴの愁いのあるヴォーカルが魅力的。

Strong Love はマリバスというカリフォルニアのローカルバンドの曲で、知り合いのレコードコレクションから発掘したという。ハードなリズムとコーラスが特徴のノリの良いナンバーで、シングル4枚目としてリリースされたがブレイクするほどのインパクトには欠けていたようだ。I Washed My Hands In Muddy Water はスペンサーがリードヴォーカルをとるカントリー風の曲で、スティーヴはコーラスとオルガンでサポートする。カントリー系シンガーのチャーリー・リッチ、ストーンウォール・ジャクソンらが録音している。Since I Met You Baby もスペンサーがリードヴォーカルをとる牧歌的なスローバラードで、アイヴォリー・ジョー・ハンターの代表曲。You Must Believe Me はカーティス・メイフィールドのインプレッションズ時代のヒットナンバーで、オリジナルと同様ポップセンス溢れるプレイをしている。本アルバム中唯一のオリジナルナンバー Hey Darling は、スペンサーとスティーヴの共作曲。スティーヴの渋いヴォーカルが聴ける5分近いスローブルーズで、初期のオリジナル曲としてはなかなかの力作。Watch Your Step はモダンブルーズ・シンガーのボビー・パーカーのヒット曲。ラストに相応しいノリの良い曲で、スティーヴのリードヴォーカルとコーラスの掛け合いも息が合っている。

Thanks to Mr.Vappi for the picture image of LP “The Second Album”.

The Second Album + 8
Complete Collection Vol.2

The Spencer Davis Group

Spencer Davis Group
CD
01-12. Original Tracks
13. Stevie’s Blues
(S.Winwood/M.Winwood/S.Davis/P.York) 3:47
14. Trampoline
(S.Winwood) 2:27
15. Back Into My Life Again
(J.Edwards/J.Miller) 2:25
16. Kansas City [Live Version]
(J.Leiber/M.Stoller) 4:18
17. Oh! Pretty Woman [Live Version]
(A.C.Williams) 3:20
18. Det War In Schöneberg
(W.Kollo) 2:42
19. Stevie’s Groove
(S.Winwood) 2:44
20. Stevie’s Blues [US Version]
(S.Winwood/M.Winwood/S.Davis/P.York) 3:49
Producer (Extra Tracks)
Chris Blackwell [13-17]
Siegfried E.Loch [18,19]
Chris Blackwell, Jimmy Miller [20]
Musician
Spencer Davis (vo,g)
Steve Winwood (vo,g,p,org,hca)
Muff Winwood (vo,b)
Pete York (dr)
Recording
Lansdowne Studios, London, England
Olympic Sound Studios, London, England
Live show in England in 1965 [16]
Live session for radio broadcast in 1966 [17]
Release
2006 : Universal Island UCIY 93174/ Japan [Papersleeve]