リマスター音源によるアンソロジー盤
本作はスティーヴ・ウィンウッド本人の選曲によるアンソロジー盤で、CD4枚組のボックスセットとシングルCD仕様の2種類で2010年にリリースされた。音源すべてに最新のデジタルリマスターが施され音質向上が計られている。4枚組のほうは52ページのブックレットが付属する豪華な装丁で、音源はスペンサー・デイヴィス・グループ、トラフィック、ブラインド・フェイスから最新のソロアルバムまで、スティーヴの全キャリアの代表曲がほぼ年代順に58曲収録されている。ただしディスク4は選考から漏れたと思われる様々な年代の曲がボーナストラック風に集められている。またソロナンバーの何曲かはアルバムより短いエディット・ヴァージョンで収録されている。入手が難しくなっている1995年のボックスセット The Finer Things のほうが纏まり感は高いが、これに替わるありがたいリリースである。
4枚組ボックスセットには新しい音源が2曲収録されている。Spanish Dancer 2010 はセカンドアルバム Arc Of A Diver 収録の同曲を、新たにレコーディングし直した注目のニューヴァージョン。スティーヴのプロデュースによりウィンクラフト・スタジオで録音され、ミックスダウンはグラミー受賞歴のある米国人プロデューサーのベン・ウィッシュが担当している。演奏メンバーに関するクレジットはないが、スティーヴ単独による多重録音の可能性もある。このヴァージョンは後に Arc Of A Diver [Deluxe Edition] にも収録された。もう1曲はトラフィックの The Low Spark Of High Heeled Boys のリミックス・ヴァージョンで、ライヴ音源をオリジナルに重ねたようなイントロの部分が特に異なる。
シングルCD仕様のほうは、スティーヴ・ウィンウッドの全キャリアを駆け足で辿った、ボックスセットの縮刷編という内容だが、EU盤とUS盤で曲数と収録内容が異なっている。EU盤は先述の新録音の Spanish Dancer 2010 を含め、ほとんどの曲をフルヴァージョンで収録した全16曲。一方でUS盤はエディット・ヴァージョンを多く収めた全17曲で、The Low Spark Of High Heeled Boys のリミックス・ヴァージョンを収録すると共に、Spanish Dancer 2010 は約半分に縮めたヴァージョンとなっている。なお国内盤はEU盤を採用している。