エリック・クラプトン
英国サリー州リプリー出身。13歳からアコースティックギターを弾き始め、初のバンドであるザ・ルースターズでエレクトリックギターを入手、1963年10月にキース・レルフの誘いでザ・ヤードバーズに加入した。64年にバンドはジョルジオ・ゴメルスキーとマネイジメント契約を交わし、アルバム Five Live Yardbirds でメジャーデビューを果たした。65年のシングル For Your Love が初のヒットを記録し、エリック・クラプトンはスローハンドというニックネームで注目を集めたが、バンドがポップ路線へ向かったことから脱退、同年ジョン・メイオールの誘いを受けてザ・ブルーズブレイカーズに加わった。66年にはジンジャー・ベイカー、ジャック・ブルースとクリームを結成し不動の人気を獲得、69年にはスティーヴ・ウィンウッドらとブラインド・フェイスを結成、70年には初ソロアルバム Eric Clapton や、デレク&ザ・ドミノズの Layla And Other Assorted Love Songs などの名作を発表している。その後はドラッグによる活動休止期間もあったが、主にソロミュージシャンとしてアルバム制作やライヴツアー、自らが設立した麻薬更生施設クロスロード・センターの運営など、現在に至るまで精力的な活動を続けている。スティーヴ・ウィンウッドとは若い頃から親しく交流していた。オフィシャルな共演としては、66年のエリック・クラプトン&ザ・パワーハウス、69年のブラインド・フェイス、73年のレインボーコンサート、83年のARMSコンサートなどがよく知られている。さらに2007年からは再びステージを共にするようになり、クラプトン主催のクロスロード・フェスティヴァルや、08年のマディソン・スクエア・ガーデンにおけるジョイント・コンサートで、ブラインド・フェイスのナンバーなどを再演している。さらにその翌年からは合同ツアーを実施し11年には来日も果たした。
Back Home は2005年8月にリリースされたソロアルバム。前年にはロバート・ジョンスンのカヴァー曲集 Me And Mr. Johnson を発表しているが、オリジナル曲のスタジオ録音盤としては Reptile 以来4年ぶり。片腕的存在のサイモン・クライミーがプロデュースや曲作りで全面的に協力している。本作にはスティーヴ・ウィンウッドがゲストミュージシャンにクレジットされており、参加曲のインフォメイションはないが、Love Comes To Everyone でモーグシンセサイザーを演奏している。音楽雑誌 Relix によるとレコーディングはそれぞれのスタジオで行われたようで、スティーヴが自分のパートのサウンドファイルをEメールで送付したら、クラプトンがとても驚いて How did you do that? と言ったという微笑ましい話が掲載されている。この曲はジョージ・ハリスンのアルバム George Harrison 収録曲で、クラプトンがイントロのギターを、スティーヴが間奏のモーグをプレイしていたことで知られている。本作でもオリジナルを尊重したスタイルでプレイしており、二人の共通の友人ジョージ・ハリスンに捧げている。
Old Sock は2013年3月にリリースされたソロアルバムで、2曲の自作曲以外はカヴァーで占められている。ゲストにスティーヴ・ウィンウッド、ポール・マッカートニー、JJケイルらを招いている。アルバム Back Home との間に、スティーヴとのジョイントコンサートを記録した Live From Madison Square Garden を挟んでいる。本作における共演曲はゲイリー・ムーア作の Still Got The Blues で、ムーアが11年に急死した際にクラプトンはステージでこの曲を演奏し、その後も何度かセットリストに加えていた。Back Home に引き続き、友人への追悼の意を込めての共演なのかも知れない。クラプトンの泣きのギターが聴けるスローバラードで、甘美なストリングスが哀愁感を誘う。スティーヴも雰囲気に合った厳かなハモンドオルガンを弾いている。なお曲毎の演奏メンバーやレコーディング場所等に関するクレジットがないので、実際に共演して録音したのかは不明。
スティーヴとの主な共演作
1966年: エリック・クラプトン&ザ・パワーハウス What’s Shakin’
1969年: ブラインド・フェイス Blind Faith
1973年: レインボーコンサート Eric Clapton’s Rainbow Concert
1983年: ARMSコンサート The ARMS Concert
2007年: クロスロード・フェスティヴァル Crossroads Guitar Festival 2007
2008年: スティーヴ・ウィンウッド・ソロアルバム Nine Lives (Dirty City)
2008年: ジョイント・コンサート Live From Madison Square Garden
2010年: クロスロード・フェスティヴァル Crossroads Guitar Festival 2010
2020年: ジンジャー・ベイカー追悼コンサート A Tribute To Ginger Baker